はじめに
またテキトウにぶん投げた引用ツイーヨが伸びてたので反応もみつつまとめておきます.今回のはこちら.
実際有用
— はるさめ🎥 (@HarusameTech) 2025年6月28日
PC 同士を直結して static で IP アドレス設定して SMB 共有してファイル送るとだいたいワイヤレート近く出て快適 https://t.co/V0dM3fIgtG
LAN ケーブル直結でデータ転送するのは案外バカにできないよというヤツです.なんならかなり理にかなっている.
お前誰やねん
たまに聞かれるので改めて.
普段は学生をやったりやらなかったりしつつ宇宙業界の片隅でお小遣い稼ぎをしている組み込み系エンジニア見習いです.専門は低レイヤ,とりわけ電気回路の設計や基板設計,組み込みプログラミングです.
趣味柄仕事柄ハードウェアばかり扱っているのでソフトウェアの方面はあまり得意ではなく,言語は C / C++ しか書けません.
本題・・・の前に
なんか Togetter とかいう謎のサービスにまとめが作られてたっぽいので置いておきます.
本題
元ツイでやっていたことはノートパソコン二台並べて LAN ケーブルで直結し,ファイルを転送するというもの.一見すると???かもしれないがこれも立派なネットワークで,ある意味最小単位の Local Network になっています.
こうするとほとんど理論値に近い速度を出せて便利なんですよね.
やり方
材料は PC 二台と十分な長さの LAN ケーブル(Cat-5e 推奨)だけ.もし PC に LAN の口がないなら USB NIC を用意しましょう.Buffalo や UGREEN などのメーカから安価に買えます.
ケーブルに関して言及しておくと,クロス / ストレートは問いません.Auto MDI / MDI-X に対応してない機器の方が珍しいので,気にせず繋いで OK.まぁそもそも現代にクロス必須となる要件なんてほとんどないので,市販品はストレートです.また,Cat-5e 推奨とした理由は安いからというのと扱いやすいからというのが主な理由です.Cat-6 とかでも問題はありません.Cat-7? Cat-8? あぁ荷造り紐がどうしたんだい? とまぁそれはさておき,Cat-5 以下だと 100Mbps まで落ちちゃうので,Cat-5e は最低要件です.
やり方といっても大したことはなく,2 つの PC を直接 LAN ケーブルで繋げばほとんど完了です.そして,必須ではないですがわかりやすさのために IP アドレスを手動で設定しておくことをオススメします.
送り手と受け手で別のアドレスになっていればいいので,それぞれ 192.168.0.1/24 と 192.168.0.2/24 にすればいいでしょう.ただ繋いだだけだと 169.254.0.0/16 のランダムなアドレス(リンクローカルアドレス)が振られていますが,確かこのままでも良かったはず.
そして受け手の方で SMB 共有設定をして,そのフォルダを送り手から開いて DD などでぶん投げれば転送できます.参考までに,以前ノートパソコンからデスクトップにそこそこのデータを転送した時のスクショを貼っつけておきます.

これを見ると概ね 102MB/s で安定して転送できていることが分かります.816Mbps なのでまぁ健闘しています.理論値は 1000BASE-T なので当然 1000Mbps(125MB/s)となります.理論値の 9 割くらいは出て欲しい気持ちもありますが,まぁいいでしょう.片方 USB NIC なのでそのせいもあるかもしれません.
なぜ安定して速度が出るのか
これは一重に間に余計な機械が挟まらないからです.一般的な LAN に接続している場合,必ずスイッチングハブを経由します.「ルータ直結だぞ」と思うかも知れませんがお前が繋いでいるのはルータ内蔵スイッチだ.
こうすると(L3 か L2 かなどによって諸々変わってくるので一概には言えませんが)余計な転送処理をしなくて済むので律速要因を最大限排除できます.PC 内蔵の Ethernet PHY ならその先は PCIe などのより広帯域な回路を通りますので,そこで律速されることもまぁありません.そして最近の PC は SSD しか積んでいないことがほとんどなので,当然高速です.SATA SSD でさえ理論値 6Gbps ですから Ethernet に比べれば十分高速といえます.なので一番のボトルネックが Ethernet の経路になるので,LAN の理論値を出しやすいのです.
より高速にする方法
まずは双方の PC が Thunderbolt に対応しているかを確認しましょう.対応している場合,以下の方法が使えます.
最近のある程度の価格帯以上のノートパソコンなら,大抵最低でも Thunderbolt3 には対応していることがほとんどです.なので ノートパソコン同士でのデータ転送の際は要チェックです.
Thunderbolt 経由での P2P ネットワークを使う
あんなほっそいケーブルで 20Gbps とかイカれとんちゃうんとは思いますが,使えちゃうので使いましょう.(Thunderbolt 5 とかもはや理解不能)
やり方は簡単で,PC の Thunderbolt の口同士を Thunderbolt ケーブルで繋ぐだけ.これだけで P2P ネットワークが構築されます.デフォで IPv6 のネットワークになりますが,設定すれば IPv4 も組めます.
実験してみよう
都合よく我が家には自由に使えるパソコンがいっぱいあるので,実験しましょう.
ここでは,Thunderbolt を介したファイル転送.加えて Wi-Fi 経由(ただし AP の都合で IEEE 802.11ac 規格)でのファイル転送で比較します.
Thunderbolt で繋いでみる
対象は DELL Inspiron 16 Plus 7630(i7-13700H / 32GB / 1TB)と Lenovo ThinkPad X13 Gen3(i7-1260P / 32GB / 1TB)です.どちらも Thunderbolt 4 に対応しています.
様子です.ケーブル自体は腐る程持ってはいるものの,Thunderbolt が使えるのがこんな短いのしかなかったのでしゃーなしこれで実験します.
Thunderbolt 対応ケーブル、バカ短いのしか手持ちになくて涙目 pic.twitter.com/pldQw3FfAa
— はるさめ🎥 (@HarusameTech) 2025年7月1日
この状態でタスクマネージャを見てみるとこんな感じにネットワークデバイスが増えています.

Inspiron 側の Desktop 配下に share というフォルダを作成し,権限をフルコントロールにして共有設定をします.
ついでに,わかりやすさのために Inspiron 側の IP アドレスを 192.168.32.1/24 に,ThinkPad 側の IP アドレスを 192.168.32.2/24 にしておきました.
この share フォルダにちょっと大きめのデータを放り込みます.フォルダを漁っていたら 57GB の録画データがあったのでこれを使いましょう.
このデータを Inspiron から ThinkPad に移す際の速度を測ります.

タスクマネージャに表示されたピーク値では 8.1Gbps だそうです.多少の上下動はあるでしょうから,平均 7Gbps とすると 57GB のデータの転送には だいたい 1 分くらいという計算です.速いねぇ.ちなみにアバウトな実測値でも 1 分と 3 秒でした.速いねぇ.
これほどまでにシンプルかつ快適にやり取りできるのは実に便利です.

だいたいこれくらいの速度が安定して出ています.周囲の影響を受けないのは P2P 通信の大きなメリットです.
Wi-Fi で飛ばしてみる
続いて,やりたくないですが Wi-Fi で飛ばしてみます.先ほどとは条件が変わりますが,デスクトップに対して Inspiron からデータを送る方法で測定します.
参考までに,我が家で使っている AP は IEEE802.11ac 対応の Ruckus R500 で,Inspiron 側のデバイスは Intel AX211,デスクトップは Intel AX200 と共に Wi-Fi 6 なので AP がボトルネックになるはずです.
本来なら Wi-Fi 6 対応の AP を使うべきなのでしょうが,あいにく唯一の手持ちを実家で使っているのでご容赦をば.
デスクトップの方には D ドライブとして使っている PCIe Gen3 x4 接続の 1TB m.2 SSD があり,これを丸ごと共有しています.
そんな D ドライブの中には LAPTOP というフォルダがあるので,ここに 1GB の動画データをぶん投げましょう.

平均して 150Mbps 前後といったところでしょうか.
無線対有線なので当然といったところですが,動画データのやり取りをするには心許ないですね.まだ USB 2.0 の方が速いまであります.
最低でも 1000BASE-T は必須といったところでしょうか.対応機器をまだ持っていないので未検証ですが,Wi-Fi 7 くらいになると幾分かマシになります.とはいえ設備投資額や周囲への影響,安定性等々を鑑みると有線に勝るものはないです.
実際に使いたいときの検討フロー
まずは双方が Thunderbolt に対応しているかを確認してください.両方とも対応している場合は選択肢①が使えます.
片方しか対応していない,またはどちらも対応していない場合,LAN のコネクタ(RJ-45)があるかを確認します.ある場合はそれを,ない場合は USB NIC を用意し,選択肢②を使いましょう.
もし,以下の条件すべてに当てはまる場合,選択肢③になります.
- 有線で接続する手段が取れない.
- 大容量のデータを転送しない.または時間が掛かることを許容できる.
- 同じネットワークに接続できる.
選択肢①
Thunderbolt 経由での P2P ネットワークが使えます.上記のやり方です.これが一番速くて快適です.
可能な限りこのやり方がいいでしょう.
選択肢②
最も確実性・互換性が高い方法です.まぁほとんどの場合有線 LAN か USB 3.0 は使えるので,1000BASE-T 接続が使えます.一応 USB NIC 経由でも 100MB/s は出ることは確認できているので,そこそこ快適です.
注意点として,安物だったり古いものだったりすると,100BASE 接続なことがあります.この場合 USB 2.0 接続だし 100BASE だしで 12MB/s くらいしか出ません.必ず 1000BASE-T に対応していることを確認して買ってください.1000BASE 対応なら USB 3.0 接続がほとんどなので USB 側は 5Gbps の帯域が確保されます.
選択肢③
しゃーなし Wi-Fi の出番です.速度こそ出ないものの,例えば寝てる間に転送するとか,小容量のデータしか送らないとかであればこれでもいいでしょう.
USB メモリはどうなんよ
一般によく使われる方法が USB メモリを経由するもの.最も安価に実現できていいようにも思えますが,愚策と断言しましょう.
そもそも,USB メモリに使われている NAND フラッシュはかなり低スペック・低品質なものです.だから安いんですけど.
なもんで,そもそも転送に時間がかかります.最初こそ速度は出ることはあるもののそれはバッファがあるからで,枯渇すれば一気に速度が落ちます.
しかも,書き込むだけでなく読み出す必要もあります.つまりデータが往復するわけですね.実質的にニ回転送する必要があり,二度手間です.
なおかつ,取り外して持っていって挿し直す手間もあります.前時代的です.
USB SSD を使ったとしても結局は同じで,そもそも SSD はホットスワップするものではないので不適です.
余談
例えば Thunderbolt を積んでいるノートパソコンを据え置きで使っていて,かつ高速なネットワーク接続をしたいとしましょう.贅沢言うなという気持ちも湧きますが Thunderbolt が使えるならちょっとした機材投資で実現できます.
必要なのは以下の 3 つのアイテムです.
- Thunderbolt ドッキングステーション
- Thunderbolt to SFP+ アダプタ
- SFP+ 対応スイッチ
ドッキングステーションはホスト側だけでなくダウンリンクもあるものが必要です.例として CalDigit TS4 など.これは DL ニ系統積んでいるので使い勝手が良さそうです.
Thunderbolt から SFP+ に変換するアダプタも販売されており,製品としては QNAP の QNA-T310G1S か QNA-UC10G1SF です.前者は Thunderbolt 3 対応で後者は Thunderbolt 4 対応です.
スイッチは言わずもがなですね.
SFP+ を積んだ Thunderbolt ドックは見た感じありませんでした.
ちょっとした機材投資といいつつ平気で 10 万飛びますが,10G 使いたいならこれくらいはすべきでしょう.
そもそもそここだわる人はお金掛けれるはずです.