はるさめ氏の日常

主に弱電とマイコンを扱っています.たまにネットワークやサーバなども.

【2025 年版】コスパ良くマイクラサーバを組む方法

初めに

本稿では,2025 年現在に於いて,コスパ良くマイクラサーバを組む方法を示します.
コスパ良く」なので,最高性能を求めるものではないです.ある程度性能は求めつつ,費用に見合わない部分は妥協するという方針です.

概論

イクラサーバを初めとしたゲームサーバはあらゆる性能が要求されます.CPU 性能は当然としてメモリやストレージも結構食うのでコスパ良く組みたい場合バランスが重要になってきます.
今回は分かりやすさのためマイクラサーバとしましたが,別にこれに限ったことではなく,ある程度性能を求められる用途ならどれでも当てはまります.

オススメ部品

先の通り,コスパ良く組む場合のオススメパーツは以下の通りです.まず結論を提示し,理由を後述する形でいきます.

CPU

一番重視される CPU ですが,IntelAMD の二社あるのでそれぞれから一つづつ選びました.

Intel

カタログスペックでは 4C8T 3.5GHz(ブースト 4.7GHz)で,これでも十分快適に動きます.
選定理由として,E コアがないことと安価な点が大きいです.最近の Intel CPU はヘテロジニアス構成になっており,コアによって性能が違うという扱いづらい CPU になってしまっているので,不要なものはない方がいいです.その上で安いのでコスパは申し分なし.
i5 も選択肢としてはアリですが,余分な E コアが無駄になってしまいます.そこをどう捉えるかです.

AMD

6C12T 3.9GHz(ブースト 5.4GHz)の CPU です.AMD ならこれが有力です.
AMD 製品だと 9800X3D が選ばれがちというか気持ち悪いまでに持ち上げられがちですが,アレにそこまでの価値はないです.

マザーボード

ASUS / ASRock / GIGABYTE / MSI などメーカは多数あり,モデルも数多あるので選ぶのが難しいですが,以下の要件に当てはまればなんでも良いと思います.
ハイエンドである必要はなく,ミドルクラスの製品で十分です.

  • ATX(拡張性の面で有利)
  • メモリが 4 スロットある
  • Gen 4 以上の m.2 スロットがある

メモリ

DDR5-5600 の 32GB x2 セットを買いましょう.安定性重視なので OC はなしで,容量はあるだけ欲しいので多めに盛って問題ありません.
場合によっては 32GB x4 でも良いでしょう.まず 64GB 構成で様子見して,足りなそうなら 128GB に増設するという流れが良いと思います.

32GB で足りるかもしれないと思うかもしれませんが,メモリ容量の不足はクリティカルに快適性に影響しますし,32GB あたり 1 万円ちょいなのでここをケチる効果は薄いです.
ワールドを一つしか立ち上げないなら 16GB x2 でも足ります.が,複数ワールドあった方が楽しいですよ(などと).そもそも Proxmox VE のようなハイパーバイザに乗せることも見据えた構成だったりします.

ストレージ

目的の構成にもよりますが,容量は 1TB か 2TB のものを買っておけばいいと思います.
速度は意外と SATA でも十分なくらいなので,積極的に Gen5 を選択する必然性はありません.また,Gen3 にしても大して価格は落ちないので Gen4 一択とみていいでしょう.SATA にしない理由はケーブルが要らないからです.あと速度が速いほうが読み込み速度の向上を見込めますので高速なものを選ぶインセンティブがない訳でもないというのもあります.
重視すべきは IOPS と TBW です.まず予算を設定し(目安 12,000 円 / TB 前後),幾つか(3 ~ 5 種ほど)ピックアップした上で可能な限り IOPS 性能と TBW を比較し,性能の良いものを選ぶと満足感が高いと思います.(ガチ勢による比較ブログやレビュー動画などを見るといいかもしれません.)面倒な場合はメーカで絞り込むのもいいでしょう.NAND とコントローラを自社製造できるメーカの製品は品質が良い事が多い印象です.
複数ストレージを必要とする構成の場合はその要件に合わせて選定してください.

参考までに私が使っている SSD の IOPS の測定をしてみたので残しておきます.
環境は Windows 11 23H2 / i9-10900K / ASUS R.O.G. Z490-F / DDR4 3200 32GB で,計測は CrystalDiskMark 9.0.1 で 64MiB 5 回での測定結果です.

【読み出し性能】

メーカ 製品 対応規格 接続方式 SEQ1M Q8T1 SEQ1M Q1T1 RND4K Q32T1 RND4K Q1T1
Silicon Power SP512GBP34A60M28 Gen3 x4 Gen3 x4 2416.94 2189.61 156287.11 13018.07
Silicon Power SP001TBP34A60M28 Gen3 x4 Gen3 x2 1549.37 1424.81 148782.47 11713.87
KIOXIA EXCERIA PLUS G3 Gen4 x4 Gen4 x4 3338.88 2555.91 147401.37 16131.59

【書き込み性能】

メーカ 製品 対応規格 接続方式 SEQ1M Q8T1 SEQ1M Q1T1 RND4K Q32T1 RND4K Q1T1
Silicon Power SP512GBP34A60M28 Gen3 x4 Gen3 x4 1948.33 1789.17 132669.68 32278.56
Silicon Power SP001TBP34A60M28 Gen3 x4 Gen3 x2 1421.59 1341.10 122926.51 40891.60
KIOXIA EXCERIA PLUS G3 Gen4 x4 Gen4 x4 3099.76 2784.72 79401.12 56196.29

電源

イクラサーバの場合,システム全体の消費電力のうち CPU が占める割合が 8 割くらいはあるので,ほとんど CPU が食うと考えていいです.
次いで冷却ファンでしょうか.とはいえ誤差程度だと思います.
そして,このクラスの CPU の消費電力はどんなに多く見積もっても 100W も行かないので,電源容量は求められません.
よって 500W 程度の小さいもので十分足ります.

ケース

収まればなんでもいいです.排熱さえ外に流せれば性能には影響しないので,値段やデザインで決めてしまっていいと思います.
ただまな板運用は辞めましょう.危ないです.5 千円ほどでも十分なケースが買えるので,ケチってもしゃーないです.

CPU クーラ

付属のものがあるならそれでもいいでしょう.最低限冷却はできます.
が,個人的には別で買うことをオススメします.より余裕を持って冷やせますし.

虎徹や AK400 のようなもので十分事足りるので,このあたりの空冷クーラを買いましょう.

ケースファン

排熱はちゃんと流すべきなので,ケースファンは必須です.ただ,高性能なものが必要という訳ではありません.
テキトウなものを給排気両方に 2 ~ 3 個付けておけば安心でしょう.もし静音性を求めるなら,Noctua などの静音ファンにするのはアリです.
ファンは PC の中で唯一の可動部品なので,対策の効果はあります.

ネットワーク

普通に使う分にはオンボード LAN で十分ですが,複数台用意して仮想化基盤を作るなら,10GbE 対応のカードを刺すのもいいでしょう.対応スイッチを導入する必要がありますが,こだわらなければサーバ 1 台分くらいの価格で入手できます.
また,真面目に構成するなら,ネットワークを物理的に分離したくなってくるので,そのために 1000BASE x2 なカードを刺しておく手もあります.

コスパ」を検証

ここまでは理論編のような話でしたが,ここからは具体的に比較していこうと思います.
勘違いされがちな点として「高コスパ = 低価格」と思い込んでいる人がいますが,実際のところは当然そうではなく,概念的には性能や品質を価格で割った指標です.そこを意識しつつ見ていきましょう.

コスパ」の良い CPU とは

CPU 性能には大きく2つの指標があり,それが「コア数」と「クロック速度」です.が,ここではこれらを合体させ,コア数 x クロック速度 をその CPU の性能値という形で単純化して考えることとします.要するに簡易的なマルチコア性能ということです.
また,価格に関しては店によって違うことがあるので,複数店舗のオンライン通販での価格を参照することとします.

比較する CPU は以下の 6 つです.

価格を参照する店舗は以下の 4 箇所とします.なお,2025/07/15 参照時点での価格です.

価格を性能値で割った値を簡単に表にしてみました.価格 [JPY] / コア数 × クロック周波数 [GHz] で計算した値を乗せています.この値が小さいほどコスパが高いということですね.
なお,i5-14400 と i5-14600 については,P コアのみのコア数で計算しています.E コアは BIOS / UEFI から無効化する想定だからです.
また,クロック周波数はベースクロックで計算をし,四捨五入しています.

モデル ツクモ 工房 ドスパラ ソフマップ 平均
i3-14100 1284 1284 1284 1284 1284
i5-14400 1698 1698 1698 1698 1698
i5-14600K 1570 1427 1213 1213 1355
R5 9600X 1487 1529 1487 1487 1497
R7 9700X 1600 1611 1600 1600 1602
R7 9800X3D 2126 2126 2122 2122 2124

平均値に注目すると i3-14100 が最もコスパが良く,次いで i5-14600K,Ryzen 5 9600X という結果でした.反対に Ryzen 7 9800X3D の数値だけ飛び抜けて大きく,コスパの悪さが伺えます.Ryzen 7 9700X と i5-14400 に関してはナシ寄りの微妙というあたりでしょうか.
個別の値で見ると,ドスパラソフマップ価格での i5-14600K が最もコスパが良い代わりにツクモパソコン工房での価格だと微妙かなという感じで,安く買えるならアリと評価できます.
もちろんこれはコア数とクロック数から導き出した値を元にしているため,実際の性能を反映しているとは言いにくいです.また,アーキテクチャが異なる場合などは単純比較ができません.が,アーキテクチャが同じであるなど,特定条件を満たすことが望ましいですが,大きく外すこともあまりないので参考にする分には有用です.より厳密に計算したい場合,ベンチマークスコアや高負荷時の TPS など,実際の処理能力をより正確に表せる指標を計算に使うといいでしょう.YouTube やブログなどでレビューを探すと大抵出てきます.

コスパ」の良いマザーボード

マザーボードはこのクラスの CPU を使うならほとんど性能に影響しません.なので必要な入出力が揃っているかで判断していいと思います.
また,バランスが良い構成が今回の目標なので,ハイエンドマザーは当然要りません.ロー ~ ミドル帯の ATX マザーを選べばいいでしょう.
例えば,チップセットで言うなら Intel 800 世代だと Z890 / B860 / H810 になりますが,H810 または B860 でいいということになります.CPU が 3 万くらいなのにおんなじくらいの値段するマザー使うのはバランス良いとは言えないですからね.

実際に部品を考えてみる

以上を踏まえて,私のオススメ構成を Intel / AMD でそれぞれ提示しますので参考にしてみてください.

CPU とマザーボード

IntelAMD それぞれ分けて書いておきます.
マザーボードに関しては,汎用で安価な PRIME と,高耐久がウリの TUF から一つづつ選びました.

Intel

Core i3-14100 / ASUS PRIME B760M-A D4 or ASUS TUF GAMING B760M-E D4

CPU については省略するとして,マザーボードの選定理由をば.

これは個人的な好みも含まれますが,ASUS 製マザーは結構オススメしています.BIOS が扱いやすくファンコンが優秀な印象です.
どちらも 1 万円台前半と低コストであり,それでいて十分使える製品です.PCIe スロットは x16 サイズが 2 本はあるのでまぁ困ることはないでしょう.M.2 2280 スロットが 2 スロットに SATA ポートもあるので複数ストレージ構成も組みやすいです.
どちらかで困ったらデザインとか値段とかで選んで良いと思いますが,私的には若干 TUF 寄りかな? という感じです.

AMD

Ryzen 5 9600X / ASUS PRIME B650M-A II-CSM or ASUS TUF GAMING A620M-PLUS

どちらでも良いと思いますが,選ぶなら PRIME B650M が良さそうな感じがします.

マザーボードは CPU 以上にメーカ・ブランドの好みが出がちなので,あくまでも参考までにということでお願いします.

メモリ

DDR4 と DDR5 の過渡期でもあるので,それぞれ乗せておきます.
64GB 構成で行くなら 1 セット,128GB 構成で行くなら 2 セット買いましょう.

DDR4

Corsair CMK64GX4M2E3200C16

DDR4-3200 の 32GB モジュール 2 枚組で 30,000 円程でした.値段上がってない・・・?

DDR5

Crucial CT2K32G56C46U5

DDR5-5600 の 32GB モジュール 2 枚組で 25,000 円程.DDR4 より若干安いのマジかって感じがしますね.

ストレージ

メーカで言うと KIOXIA / Western Digital / SAMSUNG / Crucial から選ぶと安心度は高いでしょう.個人的な推しは KIOXIA です.
容量 1TB で調べると 1 万円ちょいくらいが相場という雰囲気があります.11,000 円程度なら買いでしょう.

もちろん必要に応じてバックアップは取るべきという前提はありつつ,ここで変なメーカの SSD を買ってしまうと後々悲惨なことになるので気を付けましょう.
あまり名指しはしたくないですが,Silicon Power / ADATA / SUNEAST / Acer あたりは多少知名度がある方ですが避けるのが無難です.大して安くならない割に品質がアレなのでオハナシになりません.Transcend / SK Hynix / Kingston / ORICO / Lexar などはまぁそこまで悪くはないものの品質や性能などを勘案するとコストメリットに優れるわけでもないので有用な選択肢にはあまりならないですね.その他有象無象の中華メーカは言わずもがな論外なので全力で避けましょう.

容量は最低ラインが 500GB あたり,多くても 2TB でしょう.困ったら 1TB でいいと思います.
システムとデータでドライブを分けるなら 256GB でも良いと思います.この場合は 256GB + 1TB or 2TB か良さげかな?

前述の通り Gen5 を採用する積極的理由も Gen3 まで落とす合理性もないので基本的に Gen4 でいいと思います.Gen3 x4 SSD ですら実測 10Gbps 以上の読み書き性能を持っている訳ですからまぁ十分です.

電源

大喰らいなパーツを積んでいるワケでもないので容量は求められません.500W 程度の出力のものを選べばいいと思います.
ThemalTake とかがバランス良いかな? とはいえ 15 円 / W 切っていれば許容範囲だと思うのでその辺の値段のものを買っておきましょう.

ケース

値段重視なら ZALMAN がかなり安いです.8,000 円で買えるなら安い.5,000 円で買えるなら高コスパと判断できましょうが,まぁ出せる範囲の価格帯の製品から気に入ったものを選びましょう.
ただし,PCIe スロットがフルハイトで 4 スロット以上あり,それなりにコンパクト(要するにミドルタワー)であることを要件にすると良いと思います.ATX マザーなら PCIe 7 スロットないと入らないので一応確認しましょう.

CPU クーラ

バルクで買わない限り付属することが多いので(Intel の K 付きモデルなどは除く),付属するならそれでも良いですが,予算に余裕がない場合以外は普通の空冷クーラを買っちゃいましょう.AK400 や 虎徹あたりがメジャーですが,5,000 円前後の価格帯で買えるもので,かつケースに問題なく入るなら何でも良いと思います.

ついでに CPU グリスも必要に応じて買いましょう.クーラに付属することもありますが,それとは別に MX-4 などを買っておくとメンテナンスの時などに使えるので良きです.

ケースファン

ケースに付属するものがあるならそれで,ない場合は 2 ~ 3 個追加しましょう.メーカはどこでも良いと思いますが,そこまで高いものでもないのでケチる効果は薄いです.

ネットワーク

簡単な構成で済ませるならオンボードで十分です.完全なオプションとして,必要になったら追加する形で良いでしょう.

総評・まとめ

めんどいので総額のシミュレーションはしませんが(やる気になれば計算して追記します),以上がコスパ良くマイクラサーバを組む方法です.ある程度の実用性は担保されているはずなのでおおよそ快適な構成にはなっているでしょう.
とはいえあくまでも一例なので,好みや要件などを加味していい感じにしてください.

例えば複数ワールドを立ち上げたい場合はコア数多め,メモリ多めで,ワールド一つだけでミニマルに始めたいなら i3 に 16GB メモリみたいになると思います.

余談

書き始めてから公開まで 1 ヶ月も掛かってしまった.なんでぇ?